ダイアトニック・アコーディオンの基本

日本で通常ダイアトニック(ディアトニック)アコーディオンと呼ばれている楽器は、ボタンの配列や音楽ジャンルによりメロディオンとも呼ばれています。
この文は、Wiseパブリケーションの「Handbook Melodeon/著:ロジャーワトソン」の対訳引用で、楽器本体に関する抜粋を掲載しています。また、この内容に関してのお問い合わせはご容赦ください。また、図や楽譜は著作権等の権利により掲載しません。必要であれば、専門店で原書をお求めください。

●「Handbook Melodeon」の内容/目次から
・メロディオンとフォークミュージックの再来
・メロディオン各部の図解
・単列楽器の図解
・メロディオンの演奏方
・フォーク曲集
 Winster Gallop
 Winster Processional
 Bonny Breast Knot
 The British Granadiers
 Scotland the Brave
 Brighton Camp (The Girl I Left Behind Me)
 Dingle Regatta
 The Rose Tree
 Strike the Bell (Click Go the Shears)
 The Boys of Blue Hill
・二列式メロディオンの図解
・二列式メロディオンと曲の紹介
 Brighton Camp
 Constant Billy
 Jockey to the Fair
 Tralee Gaol
 Jenny Lind
 Star of the Country Down
 Lillibulero
 Jeannette and Jeannot
・クラブメロディオンと三列式メロディオン
・クラブメロディオンの図解
・三列式メロディオンの図解
・メロディオンの手入れと調整

●メロディオンとフォークミュージックの再来

メロディオンはダイアトニックアコーディオンとも言われ、ハーモニカ(マウスオルガン)に一番近い、従兄または半分血のつながった兄弟のようなものです。現在、ドイツ(メロディオンの産まれた国)ではメロディオンはハンドハーモニカとして知られています。
クリスチャンブッシュマン(吹奏楽器の発明者とされています)はこの楽器も彼の開発とし、20のリードを持つ皮革の蛇腹(ジャバラ)で金管楽器並のパワーのある装置を作りだしました。これは「ハンドーイオン」と呼ばれウイーンのデミアンによってさらに改良され、1892年に初めて「アコーデオン」または「メロディオン」という名が付けられました。
M.Hohner社が初の本格的な販売目的の生産を黒い森のトロッシンゲンにある工場で
開始しました。50年後には、メロディオンは良い形で普及しました。ホーナー社は現在でも、最大のメロディオンメーカーであり、様々なの楽器を提供しています。

メロディオンはモーリス・ダンスや剣の舞、木靴の舞などに合わせて、その軽快で大きい音色で好んで演奏されています。さらに独特のリズムにが、アンプなしで屋外演奏するのに理想的な楽器にしているのです。

メロディオンはヨーロッパでは、今やフォーク音楽演奏でのギターよりも頻繁に演奏される楽器かもしれないのです。ダンス音楽のバンドを初め様々な分野でピアノアコーデオンにとって変わってきました(2つの既存主流による相対的な効果という考えもあります)。そして、メロディオンはその音域限界について批判を受けてきました。つまりある一定のキーでしか演奏できなこと、そして、限られた装置しかないということです。二列や三列の半音の使えるもの(大体はB/C、C/C#、B/C/C#)もありますが、奏法が違う上にこれ程の音量は出せません。

メロディオンを何に使うにせよ、演奏方法をマスターするのはそれ程難しいことではありません。すぐにクラブやフェスティバルでのオープンセッションで他のミュージシャンと共演するぐらいの自信が持てるでしょう。そこでは、新しい音色やスタイルそしてテクニックを比べ学びとれることでしょう。
オスカー・ウッドのレコードでは、一列器の伝統的な演奏が聞けます、そしてボブ・カンのクラブシステムでの表現豊かな演奏はその経済性と共に広く参考になるでしょう。

メロディオンはリードを振動させる、つまりフリーリード楽器に属します。ですから、コンサーティナやマウス・オルガン、ハーモニウムやピアノ・アコーデオンと近い関係にあります。実際、アコーデオンのようなもので、ボタンキー・アコーデオンとも言われています。ピアノ・アコーデオンにある様に付いているボタンでコード演奏(ドイツ語ではコードはAkkorde)をするのです。

メロディオンの起源と初期の開発はドイツで行なわれました 。今でも伝統的なバンドがドイツで、叉オーストリア、イタリアそしてヨーロッパ大陸のそこここで、見受けられます。イギリスではいつもフォーク・ミュージックの楽器として演奏されてきました。歌を伴うものよりもソシアルダンスや儀式的なダンスの場によく使われています。

メロディオンのシステムは全音階で、ほとんどのボタンは2つの音を出します。蛇腹を押しているときの音と引いている時は異なります。マウスオルガンやアングロ・クロマティック・コンサーティナも同じです。

◆クラブ・モデルを持っている方へ
この楽器の二列のボタンの内側の5番目のボタン(ざらざらとした表面のボタン)はじゃばらを押しても引いても同じ音が出ます。奏法上、引いている状態の5と同じ音が欲しい時は外側の7のボタンを押して蛇腹を引いて下さい。
その他演奏の上で出会う細かな違いについては、混乱する前にクラブ・モデルの章を参照して下さい。

●メロディオンの演奏方法
メロディオンは両側の本体とそれに挟まれた蛇腹から成り、ボタンは直線に配列されています。このボタンは、スプリングレバーを通して木製の側面の開口部を包むパッドを操作します。この開口部の裏側が金属製のリードになります。つまり、蛇腹が開閉しボタンが押されると、空気がリード上を通過し音を出すのです。
基本構造はコンサーティナやピアノ・アコーデオンと同じです。違う所はメロディオンのボタンは片手でメロディー演奏できる様に配列され、フィンガーボード上に付いているという事です。もう一方の手は単音またはコードからなる伴奏用のボタン(中には2つ以上のリードを操作するボタンもあります)をコントロールします。
メロディオンのほとんどのボタンは2つの音を出します。1つは蛇腹が開くとき、もう1つは閉じるときです。主な練習の目的はどの音を出すのに、どのボタンを押すか、どの方向に蛇腹を動かすかという事です。

メロディオンのメロディーボタンにはたくさんの列があり、楽器本体から突き出しているフィンガーボードに配列されています。伴奏ボタン(または多くの単列楽器についているレバー)は楽器本体の端に直接取付けられています。
演奏者のほとんどは楽器を抱えて演奏するので、右手でメロディー、左手で伴奏を演奏しますが、逆を好む人もいます。ただし、この方法はストップ付き(リードストップレバーのある)単列式ではメロディー列側にあるレバーのため不可能になります。実際には楽器の抱える場所は個々の演奏者によって様々です。座ったり、立ったり、体の近くに抱え込んだり、腰や腿に向けて引っぱる様にしたり、けれども多くに共通しているのは、メロディーボタンの取付けてあるフィンガーボードは固定し、反対側を蛇腹の開閉の為に動かすということです。
伴奏側(ここでは左手ということにします)にはリストストラップとエアリリースボタン(空気抜きのボタンで、音を出さずに蛇腹の開閉をするためにあります)が付いています。そしてメロディー側(右手側)にはサムストラップがあります。
さらに演奏者のポジションによって1本または2本のショルダーストラップを使います。

それでは、できる限りフィンガーボードをしっかり抱えられるポジションを見つけて下さい。それからエアリリースボタンを使って何度か蛇腹を開閉し、演奏ポジションの感じをつかんで下さい。楽器が新しい場合、最初のうちはおそらく蛇腹が少し堅いでしょう。演奏を初め、蛇腹が柔らかくなってくると演奏ポジションを少し変える必要があるかもしれません。
左手のボタンは蛇腹のコントロールをする手の位置を確認する他は無視して下さい。指の位置をそのままにしておけばボタンをコントロールできます。親指はエアリリースボタンに置いて下さい。右手側のボタンが複数列のメロディオンの場合は、その中の一列を選びます。
あごに近い側が低音、遠い側が高音です。あごの側から3番目の列を選んで下さい。エアリリースボタンを使いながら蛇腹を開いた後右手人差し指で、このボタンを押し、蛇腹を閉じていって下さい。その楽器のキー(またはその列のキー)と同じ音が出ます。さらに指の位置はそのままで蛇腹を開いて下さい。一音上の音になります。
それでは次のボタン、中指に移りましょう(指を見ないでやってみて下さい)。ボタンを押すとさらに一音上の音になります。同じボタンを押して蛇腹を開いてまた一音上へ、くすり指で次のボタンを押し蛇腹も押します。更に同じボタンを押し蛇腹を開きます。そして小指で次のボタンを押し、蛇腹は開き続けます。次に蛇腹を閉じると四本の指を使った完全なスケールの演奏ができたことになります。スケールというのは学校の音楽の授業などでのの嫌な記憶を思い出させるものですが、楽器のシステムに慣れるには有効です。

いずれにしても、なめらかな蛇腹と指の動きになる様、同じ進行を続けて下さい。また、進行を逆にして、スケールを反復してください。この時、蛇腹の動きがリズミカルになるように、また音と音の間で指を放すようにして下さい。こういった事が後に必要になる様々な様式の奏法の基礎になります。

解かりやすくする為に、右手側のボタンに最低音から順に番号をつけます。つまり今演奏できるようになったスケールは、3押、3引、4押、4引、5押、5引、6引、6押になります。以上の全ては指を見ないで練習するようにして下さい。
さて、左手についてですが、単列の場合は2または4個、ストップ付きのメロディオンの場合は、ボタン(またはスプーン型)は2つのみで、蛇腹の方向によって右手側のボタンの様に違った音やコードを演奏します。
単列式でストップ無しものは上側の2つのボタンが、ストップ付きのメロディオンの場合は、これが2つのボタンにあたります。つまりば蛇腹を引いてる時に一方の音、またはコードを、押しているときにもう一方の音またはコードという具合です。残りの2つのボタンは上の2つとは違った音やコードになりますが、蛇腹の開閉に関わらず同じ音になります。

複数列のメロディオンでは、箱の一番外側の最も低い側から2つのボタンが、ストップ付きのメロディオンではフィンガーボードの内側の列の同じ位置のボタンと同じになります。外側にむかって隣の列の次の2つのボタンという具合に進みます。左手の内側の列のボタンは更に別のコードになりますが、楽器の適性について詳述した後の章で触れたいと思います。

それでは、ストップ付きの単列式(または相当モデル)について説明します。ベースまたは伴奏ボタンの使い方はスタイルや好みに大きく左右されますが、最も一般的なのはベース音やベースコードの伴奏、つまりピアノの即興に近い使い方です。
このボタン操作での指使いは個々に手の動き安い位置を見つけるのが一番です。右手はボタン列から放したままで、左手で必要なら蛇腹の方向を変え、違ったリズムを試してみて下さい。普通、単音(オクターブ)の低音はビートの強調に、高音やコードはオフビートに使います。
低音をa高音をAにした場合、例えば単純な4分の2拍子またはポルカでは、a/A/a/A/a/AというようにaとA を交互にするのが効果的です。
4分の4拍子リールでは、簡単に交互の ビートにアクセントを付ける様に蛇腹を開閉して下さい。つまりa/A/a/A,a/A/a/A,a/A・aAという具合です。
ワルツでは、aの後に2つのAを演奏して下さい。a/A/A,a/A/A,a/A/Aです。
6分の8拍子、ジグリズムの場合は1、2、3、4、5、6とカウン トし、1と4はa3と6はAを演奏します。

それではもう一度スケールを演奏してみましょう。ただし、好きなベースパターンをつけて下さい。初めは一番簡単なa/A,a/A,という具合です。そして、伴奏の長さの分だけ右手の単音を演奏して下さい。秘訣は両手を別々に動かすことです。ピアニストやギタリストならばかなり慣れていると思います。

(中略)

●二列式メロデオン
複列式の一番の、そして明らかな違いはまさに多様性、つまり複数のキーで演奏できるということです。しかし、二列式メロデオンはただ単に単列式を2つ組み合わせたというだけのものではありません。両方の列を一度に使えるいうことで、より多様な曲を演奏でき、単列式で演奏するよりはるかに容易です。伴奏ボタンの音域は広く、その楽器のキー範囲を超える音がついているものもあります。

●クラブメロデオンと三列式メロデオン
・クラブメロデオン
クラブモデルは普通の二列式とは違って右手側のフィンガーボードに短い別の列があります。これは、半音(その楽器の基本的なキーからはずれた音)を選ぶ為のもので、二列式の1のボタンに似ていますが、数が多くなっています。

この機能は半音性の強い曲や教会旋法の曲の演奏を可能にします。2つの主列の内側にさらにボタンがあり、これは、蛇腹の方向に関わらず同じ音になります。古いクラブモデルではこのボタンはもう少し普通の形で調整されています。
クラブメロデオンは、本書の初めの2章を使って同じ様に練習できると思います。何度か失敗はあると思いますがチューニングチャートを見てみると、どのボタンが普通のモデルのどの音にあたるのか理解できると思います。
クラブモデルのフィンガーボードには、例えばそれぞれの主列のあごに近い部分に特別なボタンがあります。これはチャートにあるように、ボタン0と考えるのが良いでしょう。そして、二列式の演奏法をチューニングを変えて代用できます。チューニングした二列式の内側のボタン1にあたるのはクラブでは短い列のボタン4になります。つまり二列式の内側のボタン1がクラブのボタン4で、外側列をボタン1がクラブのボタン3になります。もう一つの違いは、伴奏ボタンのbとBが蛇腹の方向によって変わるということです。

・三列式メロデオン
すでに記述した様に、A/D/Gのコロナモデルメロデオンは、二列式と少し異なります。別 のボタン列によって明らかにキーが多様になりますが、半音も2つ追加になります。コードや蛇腹の動きとともに、指使いの範囲も広がります。

メロデオンの手入れと調整
メロデオンはかなり丈夫な楽器ですが、演奏や持ち運びをした後は若干の手入れと調整をして下さい。

ボタンを押さずに蛇腹の開閉をしないで下さい(演奏を始める時は、エアリリースボタンを使って下さい)。蛇腹の継ぎ目を痛めるだけでなく、端を止めているピン穴を大きくし、蛇腹とボディーの間からの空気漏れの原因になります。

メロデオンのリードはそれぞれ独立したプレートになっています。リードの調子が著しく悪くなり、再調律や交換が必要な時は、熟練したリペアマンに頼むか、M.ホーナー社に依頼して下さい。詳しくは代理店に問い合わせてください。

レバーアクションのスプリングもしばしば劣化し、交換が必要になるでしょう。これも代理店に問い合わせをして下さい。これについては以下に応急処置をご紹介しておきます。
右手側の金属面をはずすと、レバーとパットが現われます。スプリングのバネがゆるくなったレバーを両隣のレバーとゴムバンドで止めます。

ブラケットやショルダーストラップを取付ける時は、木製の本体を傷つけないように注意して下さい。

キャリングケースが無い場合もサイズを合わせたものがあります。単列式や二列式のメロデオンにはLPレコードのケースがちょうど良いようです。ストップ付きの単列モデルは特に、ケース無しでは危険です。どちらのストップも空気抜きの為の外側に突き出た軽い金属製のスプーン状のものだからです。また伴奏ボタンも非常に傷つきやすいものです。

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