アングロ・コンサーティーナの基本

この文は、Wiseパブリケーションの「Handbook Melodeon/著:ロジャーワトソン」の対訳引用で、楽器本体に関する抜粋を掲載しています。また、この内容に関してのお問い合わせはご容赦ください。また、図や楽譜は著作権等の権利により掲載しません。必要であれば、専門店で原書をお求めください。

Anglo-Chromatic Concertina/目次より
・The Concertina とフォークミュージックの再来
・30-キーアングロコンサーティナのフィンガーチャート
・エアボタンの使い方
・左手のコード表
・フォーク曲集
 Monk's March
King Authur's Servants
 Grandfather's Clock
 Winster Gallop
Constant Billy
 Star or the County Down
My Love She's But A Lassie Yet
Shannnon Bells
Double Lead Through
Four Drunken Maidens
・コンサーティナの手入れと調整

●The Concertina とフォークミュージックの再来
コンサーティナは、フリー・リード楽器に分類されます。つまり空気が通過し金属のリードを振動させる事で音を出す楽器に属します。この種類に属する楽器は他には、ハーモニカやアコーデオン、メロディオン、ハーモニウム等があります。

イングリッシュ・コンサーティナは1829年サー・チャールズ・ウィートストーンによって開発され、特許が申請されました。クラシック音楽が作曲され、その大きく豊かな半音域は、バイオリンやクラリネット、オーボエの様な楽器の為に作られた音楽も演奏可能にしました。しかし、その音色はオーケストラを伴う音楽では、その魅力を発揮することはありませんでした。そのかわり、ウィートストーンの発明はその親しいいとことも言うべきアングロ・コンサーティナと共に、偉大なポピュラー・ミュージックの楽器になったのです。
スクイーズ・ボックスの特種なベローの動きはコンサーティナを多くは楽器として真剣に取り合わない程に世界的に知らしめることとなります。しかしその多様性に加えポータブルであることが19世紀後半から20世紀にかけて、大人気を獲得することになります。旅芸人や船乗りがそのコンパクトなサイズが素晴らしく便利であることに気付き、救世軍が高音域の素晴らしい演奏方を作り出し、コンサーティナバンドはあらゆる街、殊に北部で人気を博しました。
ミュージックホールの演奏家達はコンサーティナに可能な限り高貴な演奏をしました。しかしながらこの楽器に最も息の長い人気をもたらしたのはフォークミュージックの歌手や演奏家達でした。

コンサーティナには2つの基本形があります。第一に、ウィーストンのイングリッシュ・システムつまり、ベローを押している時も引いている時も同じ音を演奏するシステムです。完全な半音階システムで、演奏に必要な全てのキー(シャープ、フラット)を持っています。

イングリッシュ・コンサーティナにはそれぞれの側に4列のボタンが並んでいます。リストストラップのあるものもあります。低音域のボタンは通常の位置に楽器を持った時、体に近い方の側に並んでいます。
イングリッシュ・システムの注目すべき製作者はウィートストーン自身、レイチェナル(ウィートストーンの部下で後に独立し会社を設立)、ジョーンズ、そしてクラッブです。クラッブの会社は現在でも小数の楽器を製造しています。叉ウィートストンの名を持つ会社も最近復活しましたが、その製造はまだ極小数です。

第二にアングロ・クロマティック・コンサーティナがあります。(短くアングロと呼ぶこともあります)これはハーモニカやメロディオンの様にドイツにその起源を発し、吸うときと吐くときで別の音を出します。(つまりベローが絞り込まれたり引っ張られたりすることです。)

アングロ・コンサーティナにはリストストラップがあり、ストラップの前側に少なくとも2列の弧状のボタンが配置されています。エアリリースボタンがあり、通常、右手親指の位置にあります。フルクロマティックにはアングロの場合多くのボタンが必要になります。(30かそれ以上、様々なキーが可能です。)同様に基本的な2列のキーの中でも様々なバリエーションが可能です。低音域は左側のボタンで、高音域は右側のボタンで演奏します。
ウィートストーン、ラクナル、そしてジェフリーが過去アングロの主な製造者でしたクラッブ・アンド・カンパニー、とコリン・ディッパーが今日でも小数ながら製造をしています。

3番目のタイプのコンサーティナは、デュエットとしてその名を知られており、様々なフィンガーシステムがあります。メインタイプのそれぞれの利点を全て備えています。低音は左に、高音は右に、全音域、押している時も引いている時も、同音を演奏します。アングロと同様リストストラップがあり、キー配列は一見アングロと同じ様にたくさんのボタンがあります。けれども、厳密には一つのボタンで二つの音があるのはアングロだけです。

フォークプレイヤーの間では、イングリッシュシステムを好む人とアングロのそれは、ほぼ同数です。アングロのキーの制約は歌を伴うものにはあまり人気がありません、けれども非常に効果的に使った人々がいます。特筆すべきは、ジョン・カークパトリック、そしてリブ・ケネス・ラブレスです。アングロ本来のベローの動きのリズムは、儀式や社交ダンスの演奏に理想的な楽器でした。この分野で後に伝説的名前となったのがウイリアム・キンベルとスキャン・テスターで、幸運におその音楽を聞いた人々に多大な影響を与えました。

イングリッシュ・コンサーティナは、儀式ダンスのプレイヤーの間では知らない者のないもので、社交ダンスバンドにも広く大きく、例外なく、バイオリンに変わる叉は補う純粋にメロディックな楽器として使われました。
ニューキャッスルのアリスター・アンダースンは、この分野の非常にレベルの高い妙技に達し、この楽器に常に伴う流れるような音質を十分に発揮する才能を示す一方で、アングロならではの一見自然なリズムを織り込んでいます。

多くのアイルランドのプレイヤーはアングロをメロディーに伴奏なしに使います、そして、その技工は素早く複雑なベローのコントロールによるもので、これによってアングロはイングリッシュ・コンサーティナを伴ってある種の流れるようなレガートを表現するのです。このスムーズさと様々なキーでコードを演奏できる機能そして、イングリッシュ・コンサーティナの柔らかな音色は歌曲の伴奏として理想的な楽器です。

初期のフォークソング界のA.L.ロイドの伴奏者アルフ・エドワード、イワン・マッコールのペギー・シージャーズが一つの体型をつくり、多くの後継者に影響を与えました。そしてルイス・カレンやトニー・ローズのような歌手が伴奏をしながら歌うという手法を作り出しました。

こういったことが全てコンサーティナの興味を増していきました。ほんの数十年前まではゴミ箱に投げ捨てられていた楽器が今では多くの金を産みだす手段になっています。この事が全くの初心者が安価で信頼性の高い音程のものを見つけだすのを難しくしています。その生産のピーク時にウィートストーンもレイチェナルも安価な色付きボタンと音の印のある教育モデルをつくりました。その音質は洗練度の高いモデルに比べると見劣りのするものでしたが、学習し練習しようとしている人にはより受け入れられ、最終的にはより良い楽器へと進んでいきます。
これらの中にはいくつか現存するものもありますが、適当な価格で見つけることが非常に難しいか、注目に値しないかのどちらかで、スペアパーツを手に入れる事も難しくなっています。

ホーナーの新しいコンサーティナは勉強中の人にも適したものです。このハンドブックとフィンガーチャートは、この古い色と印付きのボタンの変わりです。目立たないけれども、確かに手応えがあり、安価で手に入り安いこの楽器は、M.Hohner Ltd.と取り引きの経験がある会社にとっては興味深いニュースでこの楽器に単に通り過ぎる以上の関心をよせています。こういった興味そのものがコンサーティナの歴史の重要な発展につながります。

ホーナーのアングロ・コンサーティナには、通常30の演奏ボタンがあります。(片側のはづれた位置のボタンは空気抜きボタンです。)ボタンの数がもっと少ないものも多いものもありますが、アングロ・クロマチックでは、両側のリストストラップの前に2から4列のカーブを描いた配列になっています。それぞれのボタンはパッドを持ち上げるレバーを操作しているので、ベロー(蛇腹)を開閉すると、空気が通過しパッドの下のリードが振動します。
マウスオルガンやメロデオンの演奏経験があれば、アングロを演奏するのに少し役立つかもしれません。というのは、メロデオンやハーモニカの原理と同じ様に、アングロのどのボタンも二つの音をもっています。一つはベローを引いている時、もう一つは押している時の音です。

●30-キーアングロコンサーティナのフィンガーチャート(省略)
リストストラップに手を通して下さい。親指は外に出し、ストラップの上に置いて下さい。
右手側にエアボタンがり、親指の届く位置になります。両手の4本の指は、それぞれの側の全ての演奏ボタンに届くはずです。ゆるすぎない、ちょうど良い具合にストラップを調整して下さい。ストラップがゆるすぎて楽器を持つことに気を取られていると、良い演奏ができません。一方で指をきつく閉め過ぎると、ボタンを使いにくくしてしまいます。

今まで気づかなかった筋肉を発見する良い機会です。最初の内は親指が痛むかもしれません。座った状態でコンサーティナの片側をひざにのせて演奏する人もいます。

解かりやすいように、ボタンと列に記号をつけましょう。ホーナーの30-キーシステ ムに対応していますが、他のアングロにも適用できます。一番ストラップに近い側の列のボタンは主にGのキーになっていますので、ここではG列と呼びます。次の列は同様にCの キーなのでC列、のこりの一列は様々なシャープやフラットに使うので、X列とします。左手側の列のボタンは、小指側からそれぞれ、L1,L2,L3,L4,L5とし、右手側は人差し指側から、R1,R2,R3,R4,R5とします。どのボタンをどの指で押さえるかについては、難しいルールも早道もありません。

エアボタンを使ってベローをほぼいっぱいまで広げてください。右手の4本の指をC列の最初の4つのボタンR1,R2,R3,R4に置いて下さい。左手の指はそれぞれC列のL2,L3,L4,L5です。それでは、ボタンを押さえたままベローを押して下さい。これがコードCです。この中のどのボタンを押しながらベローを押してもお互いにハーモニーを作ります。もう一度ベローを開いて、G列の同じボタンを押してみて下さい。
これがGのAコードです。

●エアボタンの使い方(省略)

もう一度C列に戻ります。L3,L4,L5のボタンをそれぞれ左手の薬指、中指、人差し指で押 さえ、R1を右手人差し指で押さえます。ベローを少し開き、次の順に進んで下さい。L3で押し、L3のまま引き、L4で押し、L4で引く、L5押、L5引、R1引、R1押。これがCのスケー ルです。同じことをG列ですると、Gのスケールになります。スケールの練習は楽器のシステムに慣れるのに良い方法です。

スケールを弾いていると、高音部でそれまでの進行と違って、連続してベローを引く部分
があります。右手が上に向かっている時は、C列でもG列でも上から2番目で、同じ事が起きます。全体のスコアは次の通りです。R1押、R2引、R2押、R3引、R3押、R4引、R5引 、R5押。
それでは、指を見ないでやってみて下さい。

(中略)

●コンサーティナの手入れと調整
コンサーティナは主に3つの部分から成ります、木製か木製と金属製の側面部、ベロー、アクション(ボタン、レバー、パッド)そしてリードです。
楽器が新しいうちは、ベローが非常に硬いと思います。けれどもこれはベローが伸び切ってしまう程の圧力がかかるのを防ぐのに有効です。普通の使用状態で数週間後には柔らかくなってきます。ボタンを押さずに無理にベローを広げたり閉じたりしないで下さい。(エアリリースボタンは実際に音を出さずにベローを開閉する時に使います、これはアングロモデルでしばしば起こります。)ベローを開きすぎないように気を付けて下さい。さもないと、ベローの角が、のびたり傷ついたり、ベローを側面に取付けているねじがゆるんだりと空気もれの原因を引き起こします。

リードの機能を検査叉は調整するには、側面をベローからはずさなければなりません。楽器の大きさによって両側面の6、8または12個のねじをはずしてやります。
ホーナー・コンサーティナでは、リードは別の木のプレートにベローに差し込んで取付けられ、簡単に持ち上げられます。双方のケースのリードはペアになっていて、ボタンによってコントロールされています。
イングリッシュ・コンサーティナではそのペアが同じ音を出します。 アングロでは違う音を出します。リードが音を出さない時は、おそらく他の小さな何 かに妨げられていて、簡単に取り除けます。
リードの音程が悪い場合は、専門家に修理または調整してもらう必要があります。ホーナー・コンサーティナのアフターサービスはホーナーのディーラで受けられます。古いコンサーティナのサービスについては、フォークミュージック関連誌に広告のある、多くのリペアマンや調律師がいます。

この楽器の最もデリケートな部分は、アクションです。ホーナー・コンサーティナのアクションを見るには上記した方法で側面をはずします。内部のリードの近くに、2つの小さな鉄のねじがあります。これをはずすと、リードとアクションのアセンブリー全体が持ち上がります。
伝統的なコンサーティナでは、アクションをみるには、側面を割らなければなりません。通常2つの細く長いねじがあります。イングリッシュでは1つは小指側の中央に、1つはサムストラップが付いている側の中央にあり、アングロではリストストラップバーの近くに1つ、ボタンの近くに1つあります。

アクションの故障の原因の多くは、スプリングが壊れているか、パットがなくなっているかのどちらかです。どちらの場合もボタンを押すのを止めても、音がなり続けます。スプリングの故障の場合は、ボタンが降りたままにもなります。他のスプリングを見るとすぐに、取付けてある状態が解かります。パットがなくなった場合は、また簡単に付けられます。パットがある場合は、きちんと穴にあっているか調べてください。必要ならアクションのピボットにミシン油をほんの少し付けて下さい。ただし演奏時にリードには過度の量を吸い上げることはできないので気を付けて下さい。

コンサーティナの手入れは常識的なもので、調整の頻度は、演奏の時にその楽器にかかる力によって変わります。モーリスや他の儀式でのダンス曲の演奏者の場合、ほとんど屋外で力強い演奏をするので、リードの調整は普通より多くすることが必要になります。真ちゅうのリードは鋼のリードよりも調子がくるいやすくなっていますので、古い楽器を選ぶときには注意して下さい。

調整は早目におこなって下さい。音がくるい始めた時に調整をすれば、楽器にダメージを与えずに再調律ができるでしょう。楽器の動きになれてくると、ボタンの抵抗がいつもより弱いと感じたら、スプリングやレバーが弱っているのがわかる様になると思います。

上記以外では、ストラップがきつくて、親指や手首に力がかかる時にはすこしゆるめて下さい。ただし、いくらあなたがうまくても、リードやベローの調整が行き届いていても、楽器を落としていては演奏できません。



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